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だれも知らないオフの話

じっとしているしかない。

    真夏の太陽に照らされて、休息を得ようと木陰に入る。
    しばらくして、汗が引いた。
    じっと、毛穴の奥まで見えるほど片腕を見ていた。
    きらきら光るものが見える。
    点滅している。
    それは浮き出ては消える
    ちらちらと星がまたたくように。
    そんな暑い日の出来事だった。





  ぼくは切り取ったコーヒーショップの入口からその光の雨を見ていたん
 だけど、ちょうど柱の影になっていて、そうこさんか来ているのにしばら
 くきづかなかった。後ろ姿がなんとなくそうこさんかな?と思ったけど髪
 の毛が短かったし、しばらく会っていなかったので30秒だけ躊躇して声
 を掛けたら、そうこさんだった。9時になって、他に来ていないか見に行
 った。もんさんらしい女の人がいたので、声をかけようと思ったが、なん
 となく声をかけにくかったのでそうこさんにきてもらった。
  しかし、絵本と童話ではない本を読んでいたので違うのではないかと思
 ったぼくは声を掛けるのに躊躇すると別に待ち合わせていたらしいひとと
 姿を消してしまっていた。そうこさんに「もんさんって知ってる?」と聞
 くと知らないという。何も目印もなくどうやってあうのだろう?
  やっぱり、幹事がいいかげんだ。「もう9時になるよねえ。」と言うと
 左のほうにいたもんさんから声を掛けてきた。「アサヒネットのかたです
 か?」と聞くのでぼくは安心して「もんさんですか?」と話しかけた。よ
 かったあ。はじめてあったもんさんを見てやっぱり絵本と童話のひとだと
 改めて思った。なんとなく、生なりの帽子と三つ編みの髪形とあられちゃ
 んの眼鏡をかけていたから、でも眼鏡外していると「たぶん美人だ」(な
 んてあいまいな表現)なんとなく少女の面影を残したひとだった。(若く
 見えるよね。ぼくのいっこしたなのに)
  正直なところ、そうこさんともんさんのふたりが揃ったから、両手に花
 で構わないやと思ったとき、おうさまが階段を下りて来るのが見えた。お
 うさまじゃなきゃいいのにと思いながらいたらおうさまだった。おうさま
 は落ち着きなく、階段を上ったり下りたりしている。実はここの光の雨は
 上でも待ち合わせるらしい。とにかくぼくたちは光の雨がなにものである
 か書いてある板の前で待っていた。後ろに気配があって、ふりむくとそこ
 に大靴さんがいた。はじめて会うのに大靴さんだと思ったのは大靴さんの
 ように見えたからだ。身体が大きい。穏やかに成長したタイプのようだ。
 それに、遠慮がちな話し方で話しかけてきたので大靴さんらしいとはこの
 ことかとなんとなく納得している銀笛だった。やはり、絵本と童話のひと
 だった。それはそう、幼稚園巡りを仕事にしているひとなんだ。
 
  だいたい、いいかげんな幹事だったので、みんなに迷惑をかけてしまっ
 ている。まあ、運がいいことがとりえのぼくなので、たいした調査もなく
 逸見駅に来てしまったが、コンビニがあって氷とみんなのお昼はここで調
 達できた。そして、一番目に来たそうこさんに隊長を任命した。方向音痴
 だと言う隊長は言う。でも、これが一番に来たご褒美?実は違ったのだ。
 不思議なご褒美を渡すのを実は忘れていた。(ちゃんちゃん)
  さて、ここから塚山公園は25分程度でつけるらしい。思ったより、近
 いらしい。しかし、このへんは強力な急傾斜地であるから、どんな坂道が
 待っていることやら。
  最初はあかるく元気がとりえのような絵本と童話の会議室のみんなだ。
 おしゃべりをしながら、えいほえいほ、歩いている。
  汗汗汗、きょうは暑いのにみんな元気に山を登る。山といっても急勾配
 な斜面沿いに階段上の坂道があり、ぼくたちはそこを歩いていた。近頃、
 ダンスのレッスンをさぼっているぼくにはきつい道のり。おうさまと大靴
 さんはさすがにすたすたと歩いてゆく。そうこさんもんさんはなにしろサ
 ンダルのようなものだから、多少、たいへんだったんじゃないかな?
  ぼくは帽子を持ってこなかったのが失敗だった。けさ、起きたときに洗
 い晒しできてしまったので、髪がぼさぼさだ。
  なにしろ、木陰があるような山道ではなく、住宅が傾斜地に建っている
 ようなところだから、暑いのなんの。どっーーーと、汗が流れ落ちるのを
 止めるすべを知らないまま、歩くだけ。
  T字路にぶつかった。どうもそこは狭いながらも車道である。そして、
 その下には横横の料金所が見えた。「何回も来ているけどこんなとこまで
 道(車道)があるなんて知らなかったなあ?」とひとりごとを言っていた
 銀笛である。途中、ベンチが置いてある小さな公園があったので、小休止
 をとった。
  ここで、ぼくのお手製アイスコーヒーの出番である。他にそうこさんの
 くるみのブラウニーや大靴さんのマスカットの入った砂糖漬けのようなお
 菓子も出演した。各自のプラスチックのコップに氷を入れて、アイスコー
 ヒーを注ぐ、そこからは海が見える、蝉が鳴く。公園の管理事務所からは
 おばさんの笑い声が聞こえる。そして、軽トラックが目の前を通りすぎる
 のを見た。
  一息ついたところで再び出発だ。さあ、これから歩くぞーと勢いをつけ
 たところで目の前に塚山公園の看板が見えた。ぼくたちはなんとラッキー
 なのだろう。単にぼくがぼけているだけかもしれない。
  これから、ぼくたちはビールを飲むポイントを探し歩く、海の見えるな
 んとかという矢印にむかって進む。たしかにここからは横須賀の三笠が見
 える。写真を撮った。ここで、佐藤さとるさんのだれも知らない小さな国
 がどこなのか?話していた。海に向かって自動車道路が走っている。ここ
 が、あの矢印のさきっぽなんだ。コロボックルやせいたかさんおちび先生
 が、がんばって道をそらしたんだとみんなで話していた。なんとも、風は
 心地よいが日差しが強すぎる。そして、また新たなポイントに向けて歩き
 だした。
  案針塚があるというので、そこへ向かった。ぼくは階段を登らずわきに
 それた獣道を歩いたが、おかげでクモの巣を取り払う仕事をもらってしま
 った。
  みんなはすでに案針塚前にいた。こっちに涼しいところがあるからとみ
 んなをうながして木陰とうっそうとした森が下に広がる道の前に陣取った。
 ここは、風が涼しい。空を仰ぐと木々のあいだから太陽光線が海面に浮か
 ぶようにきらきらと浮かんでみえた。ぼくは気に入っていたので、ここを
 ビールのポイントにして、みんなにビールを注いだ。ビールを飲みながら
 、一息も二息もついておちついていると、おうさまはひとりで散策に出か
 けてしまった。すたすたと歩くおうさまである。
  やっぱり、あずまやでお昼を食べようと道を戻った。なにしろ、さっき
 もぼくたちの目の前をおばさんがミニバイクで通りすぎるような車道なの
 だから。涼しいポイントなんだけどね。ぼくだけが気に入っているだけみ
 たい。
  ぼくたちはコンビニで買った食事をそれぞれに出して食べはじめた。マ
 ッキントシュの話、みんなの仕事の話、インターネットの話、アサヒネッ
 トの話、いろいろ充実した時間を過ごした。
  帰りは案針塚駅に向かってぼくたちは坂道を下る。ここがぼくが車で道
 の途中まで来て引き返したポイントであることに気づいた。なんてことが
 すぐそばまで来ていて、たどり着けなかっただけなんだ。後はみんな知っ
 ている道で、案針塚駅周辺が開発されていて道が広くなっていることに気
 づいて驚いた。それにこのあたりにはコンビニも何もなかった。ほんとう
 にぼくは運がよいらしい。いいかげんな幹事であることには違いないのだ
 が。
 
  汗も引いて気持ちのいいかんかん照りの日曜日。これから、大靴さんの
 中華街の旅がはじまる。
 
  では、大靴さん。どうぞ。塚山公園の話もしてね。

by knazy | 2004-09-29 00:43  

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