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誰かを好きになること

そういえば、誰も好きじゃなくて
自分も好きじゃなくてっていうとき
もう10年も前の話

出会った彼女

ぼくはなんとなく話の流れから
死にたい時があるんだと言う話をしたら
彼女は本気で泣いていた

ぼくのココロはそのとき動き始めた

ぎりぎりとゼンマイを巻き続けて
固く締まり過ぎていたココロが
徐々に解き放されていた

動き始めたら後は早かった

空回りするほど早かった
彼女と結婚の約束もした
すべてが順調だった
ひとを好きになること
愛することができることは
自分を好きになること愛することだった
仕事もとたんに順調になった
すべてがバラ色の世界だった

でも、壊れるのも早かった

彼女は舞台で恋をした

ぼくではないひとと
彼女は苦しんでいた
ぼくはわからなかった
彼女には結婚の二文字が重荷だった
彼女は舞台に自分を賭けたかった

ぼくは足でまといだ
彼女のためにできたこと
何かあったかな
もうわからないことだけど

彼女とふたりで過ごしたクリスマス
風邪気味だったぼくは
次の日倒れた
彼女は看病してくれた
でも、彼女は自分の家族の元に帰った
それは別に良かった
いつも門限ギリギリだけど
彼女の家まで送っていたし
それがぼくたちには当然だったから

でも、彼女は裏切った
ぼくのココロを踏みにじった
あれだけ門限を守っていた彼女は
舞台で恋をした相手には
門限なんて気にしなかった
恋のした相手のところに入り浸った
何が違ったんだろう

恋の相手は妻子持ちだった

何が彼女を狂わせたのだろう
いままでのぼくの誠意はみな
踏みにじられていた
白いシャツが泥まみれだ

ぼくは死にたいと再び思った
このまま、川の底に沈んでしまいたいと思った
誰にも知られたくもなかった
この気持ち
この感情

12キロ歩いて部屋に戻った

感覚は麻痺していた
記憶もなかった
どうして生きていたかわからなかった

でも、彼女はぼくにひとを好きになること
愛することを教えてくれた
だから、いま感謝する
彼女のしあわせも望んでいる

メリークリスマス

どんなひとにも等しくしあわせが訪れますように

by knazy | 2004-12-24 23:11  

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